ラグビーでのキックオフのルールと見どころをスコットランド戦でチェック

ラグビーでのキックオフのルールと見どころをスコットランド戦でチェック

キックオフのルールと見どころをスコットランド戦でチェック

キックオフを甘く見てはいけない。
前後半1回ずつ、1試合で2回ではないのだ。

 

どちらかに得点が入るとキックオフから再開。
ラグビーの試合では1試合で10回近いキックオフがあるんです。

 

キックオフをどこに蹴る。
蹴られたボールをどう返す。

 

双方が知恵を絞り、ときに相手の裏をかく。
W杯のスコットランド戦でも日本代表がいきなり策を仕掛けています。

 

気づいてました?
日本中が熱狂したあの試合ですよ。

 

スコットランド戦前半キックオフ時の布陣をチェック

2019年W杯での日本代表vsスコットランド代表戦の前半開始時の布陣が下図【1】。
日本代表のキックオフです。

 

【1】日本代表vsスコットランド代表戦の前半キックオフ布陣
W杯スコットランド戦での日本代表キックオフ布陣

 

スコットランドは蹴りこまれそうな場所に二人一組で待ち構えます。
これは一般的な布陣。

 

ちなみに、二人一組にするのは、ジャンプして取る人とジャンプを支える人。
蹴ってきそうなところで、待ち構えているというわけです。

 

日本は左側(図では上側)にフォワード陣を配置しました。
ボールの取り合いはフォワード陣が強いので、フォワードが多いほうに蹴るのがセオリーです。

 

キックオフを蹴る場所として一般的なのは3ヵ所(下図【2】)。

  • (1)10mラインの先
  • (2)10mラインと22mラインの間
  • (3)22mラインより先

【2】キックオフを蹴る場所

 

それぞれ狙いが違います。

  • (1)はボールを競り合って取ることを目的とするもの
  • (2)はボールの競り合いを目指しつつ、相手にプレッシャーをかけるもの
  • (3)はボールを相手に取らせて、その後の展開でプレッシャーをかけるもの

 

この3つの中から選択するのが一般的ですが、日本代表が選択したプレーは…

 

センター付近の10mライン先にゴロキック

日本代表田村選手の選択は中央付近の10mライン先へのゴロキックでした(下図【3】)。

 

【3】W杯スコットランド戦での日本代表のキックオフ
W杯スコットランド戦での日本代表のキックオフ

 

奇襲です。

 

これ用意していたプレーですね。
キックしたボールを再獲得するために意図したプレー。

 

実際に日本代表は最初のボール確保に成功し、そこから連続攻撃を仕掛けることができました。
ここでキックオフのルールを確認です。

  • ゴロキックでもいいの?
  • もっと手前に蹴っちゃえばいいんじゃない?
  • いっそ敵陣深く遠くに蹴ったほうが有利じゃない?

という疑問に答えます。

 

キックオフのルール(1)

「ボールは、10メートルラインに達しなくてはならない。」

10メートルラインとは、中央のハーフウェイラインから10mのところに引かれているラインです。ハーフウェイラインと平行に点線で引かれています。

 

キックオフのボールは、ここを越えないといけないというわけです。
ただし、「ノーバウンドで」とは規定されていないので、ゴロキックでもいいのです。

 

なお、ルール上、10メートルラインに達するのは空中でもOKです。なので、一度10メートルラインを越えたボールが風で押し戻されたとしても、そのボールは有効です。

 

蹴ったボールが10メートルラインを越えなかった場合は、キックした地点での相手側(キックオフをしなかった側)ボールのスクラムとなります(センタースクラムといいます)。

 

このセンタースクラムは、攻めるスペースが両サイドにあるので攻撃側が有利です。
10メートルラインを越えないキックミスは大きなピンチを招くというわけです。

 

キックオフのルール(2)

「蹴られたボールが、プレーヤーに触れることなく相手側のインゴールに入り、相手側のプレーヤーがそのボールを遅滞なくグラウンディングした、または、インゴールを通ってデッドとなった場合、ボールを蹴らなかった側のチームがキックのやり直しかスクラムの選択肢を与えられる。」

 

だったら、思いっきり敵陣深くに蹴りこんだら…という疑問への答えが上記のルールです。

 

キックされたボールがそのままインゴールに入って防御側が押さえてしまえば(またはデッドボールラインを越えれば)、やはりセンタースクラムになるのです。ピンチですね。

 

というわけで、キックオフは10mラインからゴールラインの間に蹴るしかないのです。

 

キックオフの見どころ(観戦時にはココに注目)

最初に述べたようにキックオフは前後半1回ずつではありません。
得点後の試合再開方法もキックオフだからです。

 

日本代表vsスコットランド代表戦(2019年W杯)は前後半あわせて8回ありました。

キックオフの回数(2019年W杯日本代表vsスコットランド代表戦)
(前半)開始1回+得点後の再開3回=前半計4回
(後半)開始1回+得点後の再開3回=後半計4回
(前後半)合計8回

 

得点後のキックオフは点数を取られた側がキックします。
このボールをどこに蹴り、どのようにして確保するのか?が見どころ

 

蹴る側は、空中のボールを確保しようと思ったら、走り込んでいってジャンプしなければなりません。落下地点に先に入れるのは相手側。単純な競り合いではキックしたほうが不利です。

 

そこで、工夫。

  • 10mギリギリを狙って蹴る
  • 右に蹴ると見せかけて、キックする直前で向きを変えて左に蹴る
  • 空中でキャッチを狙うのではなく、後ろにタップして、そのボールを拾う

どんな狙いで、どう蹴るのか?見ごたえがあります。

 

キックオフが成功したかの目安となるのが、次のプレーの再開方法。
敵陣でのマイボールで再開なら成功、自陣での相手ボールなら失敗。

 

前者なら得点を返すチャンス、後者なら連続失点のピンチにつながるのです。
得点を返すかチャンスか連続失点のピンチか?試合の流れを左右するプレーです。

 

キックオフ前の布陣も注意してみると、微妙に違います。

 

左に集まっているように見せかけて、中央にも配置しているとか。
左右均等にわかれているように見えて、背の高い選手は片方に寄せているとか。

 

試合の中で複数回あるので比べてみると面白いです。
あれ?前のキックオフのときと布陣が違う。

 

そう感じたら、何かが起きるときかもしれません。
観戦時には注目してみてください。

 

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