南アフリカ戦の勝利を受け、期待とともに注目度もかつてないほどに上がったスコットランド戦でしたが、結果は45対10の大敗。トライ数も5本対1本と惨敗でした。
スコアだけでなく、点の取られ方やミスから崩れていったところ、後半に突き放されたところなど昔のジャパンに戻ってしまったと言われますが、そうとは思いません。
昔のジャパンに戻ったわけではありません。
むしろ、ジャパンが次のステージに上がるための生みの苦しみのような気がします。
今回の敗戦が昔のジャパンと違う理由のひとつはスコットランドの戦い方です。いままでは格上としての戦い方でしたが、今回はチャレンジャーとしてジャパンに挑んできました。
象徴的なのは迷うことなく狙ってきたペナルティーゴール。
トライの5点ではなく、確実にゴールの3点を積み重ねる戦い方をしてきました。
こんなことは今までの日本対スコットランドではありません。
むしろ日本がやっていた戦い方です。これをスコットランドは迷うことなくやってきました。
反対にジャパンはペナルティをもらったときにトライかゴールかで迷っているシーンが前半に目立ちました。FW戦でいけるという手応えがあったことが迷いを生んでしまったのか。
確実にゴールの3点を積み重ねて得点差を少なくしておくというこれまでの戦いができませんでした。南ア戦での成功体験も影響していたのかもしれません。
逆に言えば、FWがこれまでよりやれているということ。
そこにジャパンの可能性を感じます。
これまでも強豪国は日本と戦うときでも本気で勝ちに来ていました。それがラグビーです。ただ、あくまで本気を出せばトライを取って勝てるという前提での戦い方。
トライがなかなか取れないことを前提にペナルティーで確実に点を重ねていくという強豪国同士のゲームプランで日本と戦った強豪国はありませんでした。
今回のスコットランドが初めて。
南ア戦の勝利で日本が認められたからこそです。
強豪国としての日本に挑んできた初めての強豪国がスコットランドです。
残念なのは日本側にその準備が不十分だったこと。
これは仕方ありません。南ア戦で勝利を目指すとは言っていましたが、南ア戦で勝利することを前提にスコットランド戦の戦い方を考えてはいなかったと思います。
スコットランド戦のプランはもちろん練っていたのでしょうが、あくまでチャレンジャーとしてモノだったはず。それが、挑戦を受ける立場になってしまった。
実際に戦ってみても、FWで手ごたえを感じている。このときのプランがまだチームとして意志統一されてなかったような気がします。
意志統一できなければ試合に勝てません。
ジャパンのステージが上がったからこその敗戦。「そう思いたい」一戦でした。