センターなのに目立たない。
グループの中でセンターといえば花形のはず。
なのに、ラグビーでは目立たない。
ウイングのように「オイシイ」ところを持って行くわけでなく、
ハーフほどボールに触れる回数も多くなく、フルバックほど切り札でもない。
かといって、フォワードほど体を張ったプレーが評価されるわけでもない。
パスのうまいやつがスクラムハーフになり、状況判断のできるやつがスタンドオフになり、足の速いやつがウイングになり、キックのうまいやつがフルバックになる。
そのどれにも当てはまらないやつはセンター。
そんな言われ方をしてしまうんですね。
センターって。
確かにコレと言った「売り」がない。
地味にタックルをし、地味に相手に当たり、地味につなぎ役に徹する。
それがセンター。
ワールドカップの日本代表では、主に中村亮土選手とラファエレ ティモシー選手がセンターとしてプレーしました。ここでスコットランド戦での注目のプレーを振り返ってみます。
後半21分(日本28−21スコットランド)。
日本陣10mライン付近でのスコットランドボールのラインアウトからのプレーです。
スコットランドはマイボールをラインアウト最後尾でクリーンキャッチ。
直ぐにスクラムハーフからスタンドオフにパスアウトします。
このときスコットランドのバックスラインはFW1人を含めて7人。
インサイドセンターが外に開きながらスタンドオフからボールを受けます。
バックスラインに入っている2人が内側にダミーで入ります。
狙いはインサイドセンターから一番外側に立っているウイングへの飛ばし。
日本代表のウイング(松島)はキックに備えて少し後ろに立っています。
そこで、空いた前のスペースへボールを運ぼうというのがスコットランドの意図です。
スコットランドは、同じようなプレー(インサイドセンターからウイングへの飛ばし)で後半11分(このプレーの10分前)にゲインラインを越えています。
しかし、今回はセンターの中村が相手インサイドセンターに素早いプレッシャー。
パスとほぼ同時にタックルに入ったことで、相手のパスがスローフォワードとなりました。
松島が内側の選手をマークしていただけに、つながっていればビックゲインに。
時間帯、点差を考えても、地味ながら大きなプレーでした。
これぞ、センター!
注目度は低くても、貢献度は高いプレーです。