W杯スコットランド戦での日本代表のスクラムからの攻撃パターンを図解してみました。
この試合での日本ボールのスクラムは前後半で合計7回。
マイボール確保は6回で、そのうち2回はスコットランドの反則。
残りの4回バックスに展開しています。
この4回の攻撃パターンを図解してみました。
この試合のファーストスクラムは前半9分。
スコットランド陣22mラインの外側、左サイドでの日本ボールのスクラムです。
ポジショニングでは、スクラムのほぼ真後ろにウイングの福岡が立っています。
ボールが投入されると福岡が左サイドに回り込み、流からパスアウトされたボールを持ってゲインラインを突破。フォローで走り込んでいた中村につないで、さらに前進しました。
狭いサイド(左サイド)に3人が立ち、さらにそちらに福岡が走り込んで突破するというプレーでした。この福岡のスピードを活かしたブレイクは、次のスクラムでも出ました。
次の日本ボールのスクラムはは前半28分。
稲垣のトライで日本代表が14-7と逆転したあとのキックオフ後でした。
場所は日本陣の22mライン外側、中央やや左よりです。
選択したプレーは、前半9分のときと同じ。
福岡が左サイドに走り込んで、流からパスを受けるムーブです。
前回よりも左サイドにスペースがあったので、ラインブレイク後にも福岡から中村→ラファエレとボールがつながり、ゲインラインを大きく突破するビッグゲインとなりました。
稲垣のトライ直後だっただけに、これでイケイケのムードが高まりました。
今度は前半残り5分となったところでの日本ボールのスクラム。
この時点で14−7なので、日本としては得点に結び付けたいところです。
場所はスコットランド陣の10mライン付近、右サイドです。
ここは1次攻撃でポイントを作りに行くプレーを選択。
ハーフの流から田村を飛ばして、センターの中村へ。
中村はタテに切り込んで、ラックを作りに行きます。
もうひとりのセンターのラファエレとフランカーのラブスカフニが、すぐにフォロー。
素早い球出しが実現し、流が松島を2次攻撃で使ったプレーでした。
この試合の後半はスコットランの時間帯が多く、日本ボールのスクラムは2回。
後半22分、28-21とスコットランドにワントライ差に迫られてる時間帯でした。
場所はハーフウェイライン付近、やや右サイドより。
スクラムハーフの位置に福岡が入り、ハーフの田中はバックスラインに立ちました。
スクラムハーフ役の福岡が持って出たボールは、田中の背中を通して、田村へ。
田村からボールを受けた中村がラファエレを飛ばし、ウィングの位置に入っていた山中へ。
山中が大きくゲインしたムーブとなりました。
こうして振り返ってみると、バックスに展開した4回ともゲインラインを突破しています。
中には大きくゲインラインを越えるビッグゲインもあり、興奮しますね。
スクラムは8人+8人が一ヵ所に集まるので、その分、ほかのスペースにいる選手が減り、攻撃側が走れるスペースが増えることになります。
その広いスペースをいかに攻めるか。
または、いかに守るか。
その知恵比べがスクラムからのムーブ(バックスの攻撃)にはあります。
これを楽しめるのはグランドを俯瞰できる観客の特権。
ぜひ、注目して見てみてください。