ジャンパーの最高到達点でボールが手にスッと収まる。
スローワーとジャンパーが呼吸をあわせ、ジャンパーを支えるサポートプレイヤーも一体に。
これを競り合う相手がいる中で行うのだ。
ときには前後に動きながら、ときには立ち位置を入れ替わりながら。
マイボールを確保する。
ラインアウトのクーリンキャッチは、スタンドの遠くから見ていても美しい。
その瞬間の映像を切り取って持ち帰りたいほど。
クリーンキャッチでボールを確保すると、攻撃が爆発する。
ときにラインアウトモールで、ときにライン攻撃で、ときにピールオフで。
うん?「ピールオフ」って何?
W杯日本戦でスコットランド代表がやったアレです。
振り返ってみましょう。
まずは、ラインアウトのルールと基本形を確認。
ボールがタッチライン(横の線)を越えたときの再開方法がラインアウトです。
基本的にはボールを出した反対側のチームがボールを投げ入れますが、ペナルティキックでタッチに出した場合は逆(出した側がボールを投げ入れます)。
ラインアウトに並ぶ人数は、ルールで次のように決められています。
ラインアウトの形成は、各チーム最低2名のプレーヤーが必要となる。
ボールを投入する側のチームが、各チームがラインアウトに並ばせることのできるプレーヤーの最大人数を決める。
人数は2人以上。投入側が決める。というわけ。
ボールを投入しないチームの人数は投入側と同じか少なくてもOKです。
並ぶ場所もルールで決まっています。
ラインアウトの自陣側のマークオブタッチと平行に、また、そのマークオブタッチから0.5メートル離れ、かつ、5メートルラインと15メートルラインの間に、一列に並ぶ。
マークオブタッチとはボール投入地点からゴールラインに平行となる仮想の線のこと。
(グランドにひかれているラインではありません)
このマークオブタッチから、(各チームが)0.5メートル離れ、なので両チームの間隔は1メートル。「5メートルライン」と「15メートルライン」というのは、タッチラインと平行に破線でグランドに引かれているラインのこと。
文字ばかりになったので、図を用意しました。
「5メートルラインと15メートルラインの間」なので10メートルの中にプレイヤーが並びます。
なので2人以上といっても並ぶ人数には限界があります。
仮にフォワード全員がラインアウトに並ぶとすると、フォワード8人−スローワー1人=7人が10メートルの中に1列に並ぶことになります。
ちなみに、スローワーは誰がやってもルール上はOK。フッカー(背番号2)が、その役割を担っているチームが多いのが現状です(大昔はウイングが投げるほうが一般的でした)。
試合で並ぶ人数は、フォワード全員ではなく5〜6人が一般的。
次の攻撃用に余ったフォワードをバックスラインに入れておくってわけです。
なお、ラインアウトに参加していないプレイヤーは、マークオブタッチから10m離れなければなりません(ここがオフサイドラインとなります)。
ラインアウトに並ぶプレイヤーとは別にレシバーを置くことができます。
ルールで確認しましょう。
レシーバーは、5メートルラインと15メートルラインの間に、ラインアウトに参加している味方から2メートル離れて立つ。各チームが置いてよいレシーバーは1名である。
このレシーバーには、通常はスクラムハーフ(背番号9)がつきます。
ラインアウトでキャッチしたボールは、このレシーバーを経てバックスに渡るからです。
ただ、このレシーバーにフォワードの選手が並ぶことがあります。
レシーバーにフォワードの選手が並ぶが並んだときは、次の展開に注目しましょう。
W杯のスコットランド代表も日本戦でいきなりやりました。
前半開始早々。
自陣でペナルティを得たスコットランドはタッチキックからのラインアウトを選択。
日本陣22mラインを入ったところで、スコットランドボールのラインアウトです。
並んだ人数は6人(下図)。
レシーバーの位置にはフォワードの選手が立っています。
ボールを投げ入れたときのスコットランドの動きが次の通り。
注)カッコ内の数字はラインアウトに並んでいる順番を意味します。(1)は1番前に並んでいる選手、(2)は前から2番目に並んでいる選手。(レ)はレシーバーを意味します。
(3)…ジャンプ(ダミー)
(2)…ジャンプした(3)を前からサポート
(4)…ジャンプした(3)を後ろからサポート
(5)…ジャンプ→キャッチ
(6)…ジャンプした(5)を後ろからサポート
(レ)…ラインアウトの列に走り込んで、ジャンプした(5)を、前からサポート
(1)…全員の後ろを回り込んで、(5)からキャッチしたボールをもらい、サイド攻撃
意思統一された動き。
芸術的ですね。
何度見ても、その流れるような連携にしびれます。
TV観戦でなく、試合会場で見ると、その迫力も大幅にアップ。
注目すべきは、レシーバーにフォワードの選手が並んだとき。
芸術が爆発します!