
ラグビーでは、後ろにしかパスができません。
ただ、トライを取るためには前に進まないといけませんよね。
ということは、パスをすると損。
すればするほど、ゴールからボールが遠ざかってしまうのです。
なのに、なぜパスをするのか?
そこにラグビーの面白さがあるんですね。
かつてIT関連の仕事でプロジェクトマネージャーをしていました。
そのときに意識していたのが費用対効果。
システムを構築するには、お金がかかります。
お金だけでなく、時間や人も。
これが費用ですね。
システムを導入する企業は、お金を払い、時間をかけ、人員も割く。
システムを導入しなければ、このすべてが発生しません。
なのに、なぜ費用をかけるのか?
それは、かけた費用に見合う効果が得られると考えるから。
あたり前ですよね。
ここで注目してほしいのは、費用→効果の順番です。
まず、費用が掛かる(ここはマイナス)。
そののちに、効果が出る(ココはプラス)。
先のプラスを見越して、マイナスを受け入れるということなんですね。
ラグビーのパスと似てませんか?
パスをする(ボールをゴールから遠ざけるのでマイナス)。
そののちに、前進する(パスを受けた人間がゴールに進む)。
後の前進が見込めるから、パスのマイナスを受け入れる。
ボールを後ろに下げることは、前に進むために必要な投資なんですね。
それがラグビーのパスです。
システム構築の段階では費用が発生するだけです。
お金は出ていくだけなのでマイナス。
そこで大事なのは、その費用に見あった効果、収益が得られるかです。
ここを見失ってはいけないんですね。
ラグビーで言えば、パスは手段であって、目的ではありません。
前に出られると思うからこそ、ボールを後ろに下げるパスをするんですね。
前に出ることができるのは、パスしてすぐの後のプレーでではなく、もうひとつ先のプレーかもしれません。あるいは、ふたつ先、もっと先のプレーでかもしれません。
いずれにしても、パスによるボールの後退に見あうリターン(前進)が得られると思うからこそ、パスをするんですね。
あのパスは、そうした意味があったのか?
そんな見方をするとラグビー観戦が、より面白くなってきます。