ジャッカルが反則ではない理由(ラグビールール解説)

ジャッカルが反則ではない理由(ラグビールール解説)

ジャッカルって密集で手を使っていいの?

ラグビーのルールを「密集では手を使ってはいけない」と覚えていると、「ジャッカルって反則じゃないの」と思ってしまいますが、もちろん反則ではありません。「密集では手を使ってはいけない」に誤解があることが原因です。

ラックでは手を使ってはいけない

ラグビーのルールとして「ラックでは手を使ってはいけない」というものがあります。
これをラック=密集と解釈してしまうのが誤解のもとです。

 

ラックとは、ボールが地面にあり、その上で双方1名以上のプレイヤーが組み合っている状態です。
この条件が成り立たなければ、ラックは成立していないわけです。

 

ラックが成立していなければ、「ラックでは手を使ってはいけない」という反則もありえません。

 

ジャッカルはラックが成立する前に相手からボールを奪うプレー

ゲームの中でジャッカルが生まれる場面を整理してみます。

  • 【1】攻撃側がボールを保持して突破を図る
  • 【2】防御側が攻撃側の選手にタックルする
  • 【3】タックルが成立する
  • 【4】ボールを保持していた攻撃側選手がボールを離す(地面に置く)
  • 【5】地面に置かれたボールの上で双方1名以上の選手が組み合う(ラック成立)

【2】から【5】までのあいだで防御側が攻撃側からボールを奪うのがジャッカルです。
こうしてみると、攻撃側の選手が捕まってからラックが成立するまで、それなりに時間があるんですね。

 

まず、攻撃側選手が防御側につかまる=タックル成立ではありません。
攻撃側選手が地面に倒されることでタックルが成立となります。

 

地面に倒されるとは、「ボールキャリアーが横たわる 、腰を下ろしている 、または 、少なくとも一方の膝が地面についているか横たわっている他のプレーヤーの上に乗っている(ラグビーのルール14条「タックルの条件」)」 です。

 

相手に捕まっても、倒されていなければ、タックルは成立していないので、ボールを離す必要がありません。
【3】タックルが成立しても、ボールを離さないときに「ノットリリースザボール」となるわけです。

 

ジャッカルが一番起きるシーンは、このタックル成立後に攻撃側選手がボールを離そう(地面に置こう)としているときに、防御側の選手がボールを奪いにいくというケースです。

 

このときボールを奪えればジャッカル成功ですし、ジャッカルさせまいと攻撃側選手がボールを離さないと「ノットリリースザボール」の反則となり、これもある意味でジャッカル成功です。

ノットリリースザボールの反則には、相手側にペナルティキックが与えられます。

 

攻撃側の選手が捕まってからの攻防に注目して見ると、ジャッカルの醍醐味がわかります。
観戦時には、ぜひ注目して見てください。