ラグビーには「奇跡がない」理由

ラグビーには「奇跡がない」理由

ラグビーには奇跡がない理由は…

日本代表のW杯での南アフリカ戦の劇的勝利は日本中だけでなく世界中を驚かせましたよね。

  • W杯史上最大の番狂わせ
  • スポーツ史に残る歴史的大金星
  • ドラゴンボールでヤムチャがベジータに勝つようなもの

いろいろな言われ方をしましたが、個人的に一番印象に残っているのは南ア戦後の五郎丸選手のコメントです。

  • 「ラグビーに奇跡はない。これは練習の成果」

プレーしてる選手ならではのコメントだと思います。
そもそも、なぜラグビーに奇跡はないのか記してみたいと思います。

 

 

ラグビーに奇跡がない理由

ラグビーは球技であると同時に格闘技の要素も持っています。
格闘技では体重(ウェート)が勝敗を大きく左右しますよね。

 

ボクシングでも柔道でも格闘技が体重別になっているのはそのためです。
ところが、ラグビーは体重別ではありません。無差別級だけ。

 

体格で劣る日本代表も他の国と同じ「階級」で戦うしかないのです。
すると、どうなるでしょう?

 

格闘技の要素を持つラグビーではコンタクトが避けられず、コンタクトプレーでは体格に勝るほうが圧倒的に有利です。ごまかしが効かないんですね。

 

体格差がそのまま勝敗に大きな影響を与える。
これがラグビーに奇跡がないと言われる理由です。

 

圧倒的な体格差をひっくり返すには周到な準備とプランが必要

ラグビーの勝敗を大きく左右する体格差を克服するには、周到な準備とプランが必要不可欠です。これがなければ勝敗は覆りません。

 

逆に言えば、体格差を克服した勝利は周到な準備とプランがあったからこそ。
決して偶然や奇跡などではありません。

 

あれはラッキーバウンドじゃない

ラグビーの勝利を奇跡と周りから言われて、そうではないとプレイヤーが反論した例は今回の南ア戦だけでなくほかにもあります。

 

有名なものでは1971年度の日本選手権。
だいぶ前の話ですが、今回につながる話でもあります。

 

当時のラグビー日本選手権は、社会人日本一のチームと大学日本一のチームが一発勝負で真の日本一を決める形式でした。

 

1971年度(1972年1月)の日本選手権の組み合わせは、三菱自工京都対早稲田大学。
前年に早大が日本一になっていたものの、この試合は三菱自工京都が優勢のまま試合終盤に。

 

ラストワンプレーでキックしたボールのバウンドが早稲田の選手の胸に。
そのまま早稲田の選手が走り込んで逆転トライで勝利。

 

次の日の新聞には、「早稲田奇跡の勝利」「ラッキーバウンドで早稲田日本一に」といった見出しが躍りました。これに反発したのが当時3年生のSH宿澤広朗。

 

『あれはラッキーバウンドじゃない。
1年間何度も反復して練習してきたからこそ、あのバウンドを生かせたのだ』

 

これが宿澤選手の言葉です。

 

意味を解説すると、どのようにバウンドしても反応できるように複数の選手がフォローで走っていたからこそ、バウンドしたボールを取ることができたのだという意味です。

 

ラッキー(奇跡)なんかじゃない。
練習の成果だ。

 

南ア戦後の五郎丸選手のコメントと似てると思いませんか?

 

ちなみに、この言葉を残した「宿澤選手」は後に日本代表の監督となり、宿澤マジックと呼ばれるような勝利を演出しています。(宿澤監督としてはマジックではなく必然ですけど)

 

奇跡がないからこそ、周到な計画と努力が必要。
そんなラグビーが好きです。