将棋の対局とラグビーの試合に似ている。
角のような動きをするのがラグビーではナンバーエイト。
という話を前回、書きました。
(記事:将棋ファンのためのラグビー入門講座「角のような働きをするポジション」)
角の動きに似たポジションがあれば、飛車に似たポジションもあります。
(以下、前回同様にラグビーのことが詳しくない将棋ファン向けの記事です。)
ラグビーのポジションはフォワード(FW)とバックス(BK)に分かれています。
フォワード(FW)が7人、バックス(BK)が8人で計15人。
さらに、FWはプロップ、フッカー、ロック、フランカー、ナンバーエイトに分かれ、この中でナンバーエイトが将棋の角(馬)の動きをするポジションです。
一方、飛車はバックスにいます。
バックス7人のポジションをさらにわけると下記になります(カッコ内は背番号)
センターとウイングは2人ずつで、あとのポジションは1人ずつです。
この中で攻撃の司令塔となるのがスタンドオフ(背番号10番)。
スクラムなど密集からパスされたボールを最初に受ける役割です。
キックするか、パスするか、自ら走って相手を抜きに行くか。
司令塔となって攻撃を組み立てるのがスタンドオフです。
将棋で攻撃の中心となるのは飛車。
銀や桂馬を使って攻めを組み立てますよね。
もちろん、自分が敵陣に「走って」成り込むことも。
ただ、有段者の対局でいきなり飛車が成り込むなんてことはないですよね。
銀や桂馬や歩で敵陣を乱してから、飛車が突破。
ラグビーも同じです。
いきなりスタンドオフが相手を抜きに行くことはありません。
FWやセンターなどほかのポジションを使って相手の陣形を崩す。
自ら抜きに行くのは、それからです。
それでも攻撃の中心であることは間違いありませんよね。
というわけで、スタンドオフ=飛車なのです。
飛車はラグビーでは攻撃の中心となるスタンドオフだという話をしましたが、守備で最後の要となるフルバックも飛車の動きと似ています。
フルバックとは、その名の通り一番後ろに位置するポジションです。
相手からキックで攻められたときは、このフルバックが処理します。
広いフィールドをひとりでカバーしなければならないのです。
そこで上手い下手がわかれます。
上手いフルバックは、相手にキックで攻めるスペースを与えないのです。
相手がどこに蹴ってきても、うまく処理して反撃につなげる。
これでは相手はキックで攻めることが出来ません。
これ、角の打ち込みに強い一段飛車に似ていませんか。
一番後ろにいて相手に攻めこむスキを与えない。
まさに、一段飛車=フルバックです。
攻めに転じたときの共通点もあります。
一段飛車で自陣を守っておきつつ、寄せに行くときに一気に敵陣に成り込む。
こんなに気持ちのいい指し手はないですよね。
相手にキックで攻めるスキを与えないポジショニングをとりつつ、決定機には攻撃に参加して一気にトライ。これはフルバックの醍醐味です。
ぜひ、ラグビーの試合で一段飛車のようなフルバックがいないかチェックしてみてください。